太宰 治「走れメロス」

太宰治

作品:走れメロス

1940年6月15日に河出書房より刊行された太宰治の短編小説集「女の決闘」の中の1編。
(初出は「新潮」の1940年5月号)

太宰治

著者:太宰 治

出版社:1940年6月15日 株式会社河出書房新社

あらすじ

メロスは激怒した
暴君・ディオニスが、罪なき臣下や王族を殺していると知ったからである。
メロスは単純な男であったため、即座に王城に乗り込んだが、あえなく捕縛されてしまう。
しかし、メロスには婚礼を間近に控えた妹がいた。
その妹の結婚式を見届けたいメロスは、自分の身代わりとして竹馬の友・セリヌンティウスを差し出し、3日後の日没までに戻る事を約束する。
王・ディオニスは「処刑されるのが分かっていて、再び戻って来るはずはない。人を信じる事ほど馬鹿な事はない」と嘲笑った。
果たしてメロスは約束を守り、セリヌンティウスのために城に戻るのか・・・

感想

出版が1940年と言うのが驚きですね。

太宰治の作品はみなさんご承知の通り、他にも名作揃いです。
例えば、「人間失格」、「斜陽」、「ヴィヨンの妻」などが有名ですね。

その多くは、読後感爽やかな明るい小説と言うよりも、翳(かげ)のある人間らしさを描いた作品だと思いますが、それらと比べて「走れメロス」は太宰治にしては珍しく「友情、愛、信頼」と言った明るいテーマとなっているように感じます。
メロスは何とか約束の時間に間に合い、セリヌンティウスを助け出し、見事ハッピーエンドとなり、しかも最後には暴君・ディオニス王が「わしも仲間に入れてくれ」、なんて言い出すほど。

あの太宰治が、そんなハッピーで教訓じみた小説を書くのでしょうか?
個人的に「走れメロス」にはいろいろと違和感を覚えました。

あらすじ部分にあえて書きましたが、妹の婚礼をめぐって感じた疑問です。
メロスが走り始める描写に、「初夏満点の空」とあります。

しかし、季節は初夏。

メロスが妹の婿に「結婚式をすぐに挙行してくれ」と迫るシーンがありますが、そこで困った婿は、「せめてぶどうの季節まで待ってくれ」と頼みます。

ぶどうの収穫時期は秋だと思うんですが・・・それと、「せめて」と言うのも気になります。
元々はもっと遅かったはず。

つまり、結婚式が間近で城付近まで買い出しに来ていたメロスは、「とんだ勘違い野郎だったのでは?」と。
婿達はたまったものではありませんね。

また、有名な冒頭に始まり、メロスが再び走り出すシーンなどに、難しい言葉や四文字熟語などが羅列されまくっているのも気になりました。
邪知暴虐」、「獅子奮迅」など、難解な言葉を使う事で、メロスを始め、登場人物達が「ちゃんちゃらおかしいよね」と言う事をより明らかにしているのではないでしょうか。

人の心を信じられない王に、信頼する事の尊さを悟らせる物語」として、とにかく「良い話」として語り継がれている作品ですが、原作では細かい部分で突っ込みどころがたくさんあります。

まぁ、それは「見て見ぬ振り」するべきなのでしょうか・・・

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