恩田 陸「夜のピクニック」

恩田陸

作品:夜のピクニック

2005年、第2回本屋大賞、そして第26回吉川英治文学新人賞を受賞し、「本の雑誌」が選ぶ「ノンジャンルベスト10」で1位に選出されました。
2006年9月に長澤雅彦監督、多部未華子主演で映画化され、撮影には恩田陸さんの母校であり、この作品の舞台となっている茨城県立水戸第一高等学校が使われました。

恩田陸

著者:恩田 陸

出版社:2004年7月30日 株式会社新潮社

恩田陸

あらすじ

甲田貴子は高校3年生の普通の女子生徒。
貴子に限らず、この高校の生徒達は数日前から「夜間歩行」の事で頭が一杯だった。
夜間歩行」とはその名の通り全校生徒で24時間夜通し歩く、ただそれだけの学校行事で、過酷ながらも友人と長く語らう事ができこの行事は、生徒達にとっては青春の一大イベントとなっていた。
貴子は高校生活最後の夜間歩行で、自分だけの小さな賭けをする事にしていた。
もしも、この夜間歩行の間に・・・

感想

恩田陸さんと言えばファンタジー色の強い壮大な物語や、伏線が張り巡らされた凝った設定のミステリーが多いですが、この物語は「ごく平凡な高校生の、ごく普通の、たった一晩の物語」です。
ここには大きなロマンスも、衝撃的な事件も、意外な大どんでん返しも、素晴らしい奇跡もありません。

主人公の位置付けにある甲田貴子は、進学校に通うごく普通の女子生徒です。
性格はややドライでクール。
シングルマザーながら、キャリアウーマンの母親の元で、特に不自由もなく育ち、友人に恵まれ、地味ながらも楽しい高校生活を送っています。
もう1人の主人公と言える西脇融も、やはりごく普通の男子生徒で、親友に恵まれて女の子にもモテる、「そこそこ」な高校生活。

このごく普通の2人の主人公には「人から見たら、さして珍しい事ではない」けれど、「当人達にとっては大問題」と言う因縁があります。
2人がそれぞれにその問題に向き合い、悩みながら解決への道のりを模索する様子、そして2人の将来や恋愛に関する高校生らしい様々な思いが「夜間歩行」の描写に上手く乗り、流れていきます。

貴子の友人達や、西脇融に積極的にアプローチする肉食女子の内掘亮子、アメリカに行ってしまって今はいない貴子の友人の杏奈、融の親友である戸田忍などの、それぞれ普通ながらも魅力的な脇役達が絡み、一晩の夜間歩行を彩っていきます。

作中に出てくる、杏奈の「ただ歩くだけの事が、どうしてこんなに特別なんだろう」と言う言葉の通り、本当にただ「高校生達が夜通し歩く」と言うだけの話なのに、不思議とそれが「かけがえのない青春の物語」になっています。

恩田陸さんの母校である茨城県立水戸第一高等学校の実際の行事「歩く会」をモデルにしているだけあり、「夜間歩行」の描写がとてもリアルなのも、成功の一因なのでしょう。

映画版も悪くはありませんでしたが、興味のある方は、是非原作を読んでほしいと思います。

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