桜木 紫乃「ホテルローヤル」

桜木紫乃

作品:ホテルローヤル

2013年、第149回直木三十五賞受賞作です。

桜木紫乃

著者:桜木 紫乃

出版社:2013年1月4日 株式会社集英社

桜木紫乃

あらすじ

北海道のとあるラブホテル「ホテルローヤル」を舞台に、そこを訪れた人達を描く7編のオムニバス形式の連作短編集。
「ヌードを撮らせてくれ」と頼まれた女性。
父の会社を50代で継ぐ事になり、檀家として住職の妻と関係を持つ事になった男性。
ホテル経営者の娘とアダルト玩具会社の社員。
日々のストレスから夫をラブホテルに誘う妻。
自分の妻が不倫をしていると知り、信じて良いかどうか悩む教師。
ホテルローヤル」で清掃の仕事をしている60代の主婦。
そして、「ホテルローヤル」を建てる男など・・・
様々な人間ドラマがラブホテルと言う空間の中で展開される。

感想

桜木紫乃さん自身が北海道釧路市出身(江別市在住)で、しかも15歳の時に父親が釧路町に「ホテルローヤル」と言うラブホテルを開業したとの事で、「物語の舞台は釧路なのかな」と思って読みました。

新官能派」と言うキャッチコピーでデビューした桜木紫乃さんは性愛文学の代表的作家であり、しかも「ラブホテル」が中心の物語なので、最初はちょっと抵抗がありましたが、読んでみると思っていた内容とは少し違いました。

ラブホテルと言う、ある意味限られた空間の中でも、様々な人間ドラマが展開されるんですね。
短編集という事で1話1話が凄く読みやすく、笑ったり、切なくなったりしました。

ただ、表面で読んでしまうと何とも救いようのないダメな人々の「救いようのない話」になってしまい、どの登場人物に共感も同情もできずにイライラとモヤモヤだけが残ってしまう、ちょっと難しい作品のような気がします。

私が1番好きな話は「ホテルローヤル」を建てた田中大吉が主人公の「ギフト」です。
純粋に、愛する女性のるり子に夢を語る大吉はまるで少年のようで、「自分が惚れた景色を見てほしい」と言う大吉の言葉には、ちょっと感動しました。

倫理的にどうかは別として・・・

今まで、ラブホテルを利用している人を心のどこかで軽蔑、批判していた自分がいたのは事実です。
しかし、この「ホテルローヤル」のように、いろいろな事情を抱え、そしてドラマがあるのかもしれませんね。




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