浅田 次郎「蒼穹の昴」

浅田次郎

作品:蒼穹の昴

浅田次郎

著者:浅田 次郎

出版社:1996年4月18日 株式会社講談社

浅田次郎

あらすじ

明治から昭和初期、列強の進出と世界の情勢に付いて行けなくなっている清王朝の悲哀を描いた物語。
貧しい主人公の春児(チュンル)は占い師の予言を信じ、宦官を志願して王朝に入った。
西太后に気に入られた事から、崩壊寸前の王朝を身をもって知る事になる・・・
浅田次郎渾身の、万人の魂を揺さぶるべストセラー大作。

感想

序盤で春児が宦官になる処置をするところはちょっと痛々しく、これは最後まで読めるかなーと思いましたが、近現代史については詳しくなかったせいもあり、清王朝側から見た物語と言うのが斬新で、次第にストーリーに引き込まれていきました。

崩壊していく王朝の中で、必死に体制を守ろうとする西太后の嘆きの場面は、悲痛で孤独でこちらも胸がズーンと重くなります。

西太后と言うと残酷な話ばかりが伝わっていますが、少し見方が変わりました。
日本は開国数十年で西欧諸国に肩を並べている」と言うセリフが何度もありますが、当時の清王朝にしてみれば「まさにそう言う叫びを上げていたのだろうな」と思います。
その混乱した時代の中で自分はどう進むべきかをみんなが悩んでいて、仕方なくやった事もあったのでしょう。

壮絶な科挙試験があり、宦官同士の派閥争いがあり、誰もが私腹を肥やす事しか頭になく、まさに「陰謀の巣窟」となっていた状況で、西太后はすぐに人を殺します。
それぞれの立場での政争や更迭が多いので、読んでいてちょっと気持ちが滅入りますが、読んで良かった作品でした。

登場人物も多く背景も複雑なので、1ページも流し読みできない集中力が必要になってしまいますが、昭和初期の清朝が知りたいなら是非この小説をお薦めします。
浅田次郎氏の作品に共通する事ですが、主人公である春児の前向きに危機を乗り越える気持ちとサクセスストーリー的な部分が、このお話の救いとなってると思います。




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