高野 和明「K・Nの悲劇」

高野和明

作品:K・Nの悲劇

高野和明

著者:高野 和明

出版社:2003年2月4日 株式会社講談社

あらすじ

主人公の妻が妊娠したが、経済的な余裕がないため、中絶する事を決めた。
しかし、それから妻の様子がおかしくなり、時折、まるで別人格になったかのように振る舞う。
妻に起きた異変は精神的なものなのか、それとも霊による憑依現象なのか、主人公と主治医の精神科医が追求する。

感想

親しい人の人格が徐々に蝕まれていくと言う設定自体も恐ろしかったんですが、妻の様子がおかしくなるシーンの描写は本当に霊が取り憑いているとしか思えないもので、ホラー小説を読んでいるようなインパクトがありました。

夜に読んでいたのですが、物語が解決しないと怖くて電気を消して眠れそうにないと思い、急かされるように深夜までかかって一気に読んでしまいました。

特にお風呂でのシーンは強烈で、現実にあんな事があったら恐怖のあまり絶叫してしまいます。
心霊現象なのか、それとも中絶がストレスとなって精神疾患を発症したのか、精神科医と共に検証を重ねていくシーンはとても読み応えがあり、作者はかなり勉強して書かれているようで、小説を通して妊娠、中絶、そして憑依現象について詳しくなれると思います。

この本を読むまでは、「憑依現象はオカルト的なもので、科学とは程遠いもの」と捉えていたので、精神科医が憑依現象について科学的に説明するシーンは新鮮で面白かったです。

そして、精神疾患と憑依現象は全く違うジャンルのものと思っていましたが、両者を区別するのは難しい事なんだと理解しました。

ホラー要素も多いですが、物語の本質は妊娠、中絶、そして子どもを守る母親の愛情の強さであり、終盤に向けてストーリーが加速し、緊迫感が増していく展開は作者の力量が感じられ、凄いと思いました。




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