田中 芳樹「アルスラーン戦記1 王都炎上」

田中芳樹

作品:アルスラーン戦記1 王都炎上

田中芳樹

著者:田中 芳樹

出版社:1986年8月 株式会社光文社

あらすじ

常勝無敗の強国・パルス。
豊かな王国パルスの王太子アルスラーン(14歳)は、侵攻して来たルシタニアとの戦で初陣を飾る事となる。
パルス軍を率いるのは、アルスラーンの父にして、比類なき強さを誇るアンドラゴラス王。
パルスの勝利を疑う者など、誰一人として存在しなかった。
しかし、突如発生した霧やパルス国の裏切り者の存在で、一気に窮地に陥る。
そんな中、アルスラーンは頼れる武将ダリューンに助けられ、その場から逃げる事に成功する。
国を失った心優しき王太子アルスラーンは、パルスをルシタニアから取り戻すために立ち上がる。

感想

読み終えた感想は、まさに「怒涛」の一言でした。
田中芳樹氏の作品は大好きで、「銀河英雄伝説」、「創竜伝」など、複数読み込んでいるのですが、読者を引き込む骨太なストーリー性、戦闘の臨場感などはとにかく圧巻の連続。

物語は国の存続をも揺るがす歴史的大敗という衝撃的な幕開けから展開していくのですが、兵士達の息づかいや炎の熱さ、焦げた草の臭いなどがヒシヒシと伝わってくるようなリアリティーがあります。

王太子として、初陣を勝利で飾る事を信じて疑わなかった少年が味わう、壮絶な挫折と絶望感。
物語の序章とは言え、これからどうなっていくんだろうと手に汗を握る展開でした。

また、本作には単なる軍記、戦記ものに留まらず、架空の世界観と言う事もあり、魔術や魔物など、ファンタジックな要素も盛り込まれているので、何となく戦記物を好む読者層だけでなく、ファンタジー好きな読者層にも十分楽しめる作品になっていると思います。

また、序盤に張り巡らされた様々な謎や伏線も見所の1つ。

実子であるはずのアルスラーンに、何故か冷淡な態度を取る父王アンドラゴラス。
何か秘密を抱えているようにも見える大将軍ヴァフリーズ。
そして、ルシタニアをパルスへと引き込み、アルスラーンのみならず、パルス王家と言う存在に対して異常とも言える憎悪を燃やす銀仮面の男・・・
これらが絶妙なバランスで組合わさり、先が知りたくて仕方のない衝動に駆られます。

そして忘れてはならないのが、心優しきアルスラーンの元に馳せ参じる心強い仲間達。
豪勇無双の万騎長ダリューン、厭世の天才軍師ナルサス、ナルサスの侍童エラム、流浪の楽士ギーヴ、女神官ファランギースなど、才ある者たちがアルスラーンの元に集います。

アルスラーンは武勇ではアンドラゴラスの足元にも及びません。
しかし、部下を信頼する心と民を想う気持ちは、決してアンドラゴラスに劣ってはいません。

アルスラーンが仲間達と共にどのように苦難に立ち向かっていくのか。
物語としてはまだまだ序章ですが、次の巻を間違いなく読みたくなる傑作だと思います。




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