田中 芳樹「銀河英雄伝説1 黎明編」

田中芳樹

作品:銀河英雄伝説1 黎明編

累計発行部数が1500万部を超えるベストセラー小説。

田中芳樹

著者:田中 芳樹

出版社:1982年11月30日 株式会社徳間書店

あらすじ

専制君主制にして、広く銀河を支配する銀河帝国「ゴールデンバウム朝」
それに反抗し、民主主義を掲げる「自由惑星同盟」
その両者の戦い、そしてそれぞれの国に生まれた軍事の天才「ラインハルト」と「ヤン・ウェンリー」との戦いを軸にして紡がれる壮大なスペースオペラ。

感想

銀河英雄伝説」と言う作品がある事は知っていましたが、読んだのは初めてです。
私はSFと言うジャンルを敬遠してきたんですが、この1冊を読んで完全に価値観が変わってしまいました。

まず、専制君主制を敷く銀河帝国に生を受けたラインハルトは、本来君主である皇帝に忠誠を誓うべき所を、「容認出来ないある理由」において激しく憎悪する事になります。

豪奢な金髪と端正な顔立ち。
まるで誰もが賛嘆のため息を漏らす彫刻のような出で立ちながら、内に秘めた野心と復讐の炎。
そして、生まれ持った天才的な軍事の才において、帝国内でのし上がっていく過程が描かれています。

もう一方の勢力として存在する自由惑星同盟。

ここにもラインハルトの生涯のライバルとも言うべき、もう1人の天才・ヤン・ウェンリーが立つ事になるのですが、この男は大の戦争嫌い。

戦争なんてろくでもない

そう言いながらも、その卓越した戦術眼により、本心との矛盾を抱えたまま戦場に駆り出されるヤン。
自ら力を欲し、進んで戦争に臨むラインハルトと、戦争を忌避しながらもそれに巻き込まれていくヤンとの対比が、戦争と言う行為の本質をも描き出しているように感じられます。

ちなみに、指揮官が違えばそれぞれの国の雰囲気も全く違う。
銀河帝国は階級が全てであり、規律によって統制、管理された強大な軍事国家と言う印象。

対して自由惑星同盟は「自由」と言う名が示す通り、民主主義が根幹となっているせいか、あまり階級の身分の差などは感じさせない気風。

国の在り方、そして考え方も全く違う両国が、今後どのような戦いの道を歩んでいくのか。

一度だけ交えた直接対決の後、去り際にラインハルトがヤンに送った

貴官の勇戦に敬意を表す。再戦の日まで壮健なれ

と言う「再戦」が今後どのような形で繰り広げられるのか。

この先の興味が尽きない1冊です。




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