浅田 次郎「壬生義士伝」

浅田次郎

作品:壬生義士伝

南部地方(岩手県)盛岡藩の脱藩浪士で、新選組隊士の吉村貫一郎を題材とした、浅田次郎氏にとっては初の時代小説で、2000年に第13回柴田錬三郎賞を受賞しました。

2003年には滝田洋二郎により中井貴一主演で映画化され、日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(中井貴一)、最優秀助演男優賞(佐藤浩市)を受賞。
さらに、 2002年1月2日には渡辺謙主演で新春ワイド時代劇「壬生義士伝~新選組でいちばん強かった男~」として、4夜連続で放送されました。

浅田次郎

著者:浅田 次郎

出版社:2000年4月30日 株式会社文藝春秋

浅田次郎

あらすじ

慶応四年。
新選組の隊士となった吉村貴一郎は保護を求めていた。
そんな吉村に旧友だった蔵屋敷差配役の大野次郎右衛門は非情にも切腹を言い渡す。
それから時は流れ、大正四年。
北海道出身の記者が、吉村の生涯を調べる姿があった。

感想

人間にとって、一番大切なものは何なんだろう。
読み終えた後、おそらく誰もがこう思うでしょう。

新選組が出る話と言うと、大抵は派手な活劇がメインとなるのですが、この話のメインは家族愛です。

守銭奴や出稼ぎ浪人と言われながらも、家族のために心で血の涙を流しながら人を斬る貴一郎の苦悩。
そして、その姿を見つめる家族の気持ち。

おそらく、吉村貴一郎と言う人は、新撰組の隊士としてではなく、1人の人間として生きたかったのでしょう。

どんなに人から蔑まれても、嘲笑われても、本当に大切な物を失わなかった彼の生き様。
派手な剣術や大きな陰謀などは出てこなくても、それ以上の壮大な人間ドラマです。

そして、すっかり老人の姿となってしまった斎藤一が1枚の写真の中に、偶然にも吉村貴一郎の姿を見つける場面では、本当に長い月日の流れを感じます。
歴史の中に埋れてしまうような小さな話ですが、それは関係者にとっては決して小さくない話。

ささやかな幸せだったり、妻や子どもを愛おしく思う気持ちだったり、人として何が一番大切で、何が一番幸せなのかをじっくり考えさせられる作品であり、時代背景はかなり昔ですが、「今の時代にもこう言う事が大切なんだ」と訴えかけるような作品だと思います。

浅田次郎氏の作品は、いつも人間としての心の機微が上手く文章に表れていますね。

余談ですが、「壬生義士伝」の撮影の一部がつくばみらい市の「ワープステーション江戸」と言う場所で行われており、当時は茨城県つくば市に住んでいたため、見物に行きました。

ずーっと待ち時間だったようで、撮影しているところは見られませんでしたが・・・




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