三浦 しをん「まほろ駅前多田便利軒」

三浦しをん

作品:まほろ駅前多田便利軒

2006年、第135回直木三十五賞受賞作。
2011年4月に大森立嗣監督により、瑛太、松田龍平主演で映画化されました。
2010年7月から約1ヶ月間、作品のモデルとなった東京都町田市の全面協力でロケが敢行され、200人以上ものエキストラを動員して撮影されました。

三浦しをん

著者:三浦 しをん

出版社:2006年3月25日 株式会社文藝春秋

あらすじ

多田啓介はまほろ市の駅前にて「多田便利軒」という便利屋を経営していた。
いつもと同じように客に依頼された仕事をしていたある日、中学時代の同級生・行天春彦と遭遇する。
行天はなかば強引に多田の便利屋に転がり込み、多田と一緒に住む事に。
2人に襲い掛かる様々なトラブル、一体この先、2人はどうなってしまうのか・・・

感想

読み進めていくうちに見えてきたのは行天の優しさと強さ。
時には犬を可愛がり、時には親からの愛情に飢え、時には心を閉ざしてしまった少年に寄り添い、時には多田が抱えている過去に負った心の傷に向かい合う。
お人好しすぎる行動に、「なぜこんなにも人に優しくなれるのだろうか」と思いましたが、終盤にその答えが解った気がしました。
明かされたのは行天の過去。
自分自身も深く傷付いた過去があり、今でもその傷が癒えずにいたのです。

この作品には様々なトラブルや人間関係が描かれていますが、その中でも印象的だったのが親と子ども、家族のあり方と言うものでした。

自分の親から愛情を与えられない子ども。
その子どもの言葉、問いかけがもの凄く切なくて、苦しくて、悲鳴のように感じました。
他の誰かにどんなに優しくされても、子どもの心にポッカリと空いてしまっている大きな穴が埋まる事はないんですよね。
親じゃなきゃダメなんです。
どんな親でも、子どもにとってはたった1人のお父さん、お母さんですから。

親に愛されたい

こんな事を望まなくてはいけない、望んでも叶わないと言う悲し過ぎる現実。

私に子どもはいませんが、この作品を読んでから、テレビなどで子どもを虐待する親のニュースなどを観ると、「子どもが可哀そう、酷い親だ」と言うだけでなく、「この親は自分の親に愛情を注いでもらえなかったのかな。愛情のかけ方、愛あってこその厳しさと言うのが解らないのかな」とも考えるようになりました。

そんな笑いあり、涙ありの作品です。




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