東 直子「とりつくしま」

東直子

作品:とりつくしま

東直子

著者:東 直子

出版社:2007年5月 株式会社筑摩書房

あらすじ

もし自分が死んでしまったら・・・
不慮の事故や望まなかった病気による死、愛する人を残してきてしまった後悔・・・
様々な死を通して、成仏する前にこの世にある「」に取り憑く事を薦めてくる「とりつくしま係」との出会いと、生きてきた証や生前好きだった場所、愛する人の側にいたいと願う主人公達の切なくも心が温かくなるオムニバス作品。

感想

誰もが必ず経験する死に対して、恐怖や諦め、後悔や怒りなど、色々な思いがあると思います。
まだ死んだ事はありませんので、実際死んだ時にどう思うかは正直分かりませんが・・・

この作品を読んで、死んだ後もそのまま消えてしまうのではなく、この世に留まり続ける事が出来るとしたら・・・
そして、「実際に自分が取り憑くとしたら」と思わずにはいられないお話でした。

このお話の各主人公達のように、「何に取り憑きますか?」と聞かれても、普通は答えられませんよね。
でも、寝る前にふとこの作品を思い出し、何に取り憑こうかと考える事が今でもあります。

愛する人の側にいたいと思うけれど、その愛する人が自分を忘れて新しく愛する人が出来た時、側にいたら辛いなぁと思うのが自然ではないでしょうか。

なので、全然関係無いものに取り憑くとしたら・・・例えば船や飛行機など、乗り物だったら生きている時に行けなかった場所、見た事がないような景色を見る事が出来ます。

11話から成る短編集で、1つ1つのお話は短いのでさらっと読めて、小学生高学年くらいの子どもでも読みやすいと思います。
中でも私の好きなお話は、「白檀」というお話で、決して叶わない恋心を持った主人公が取り憑く先に決めたのは、大好きな人が好きな白檀の香りに包まれているものでした。

全てのお話が自分だけではなく、誰かを想う大切さを教えてくれる、読んだ後は優しい気持ちになれる作品です。




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